派遣法改定の労使協定方式の導入

派遣法の改定でお悩みの方も多いのではないかと思います。

派遣法改定に関する「労使協定方式」承ります。労使協定方式についての説明もこちらから。

今回の改定は、これまで派遣労働者の賃金が派遣会社ごとに決められていて、そこには最低賃金法の規定しかなかったものを、派遣労働者の賃金の下支えを行う目的で施行されます。派遣労働者の新たな最低賃金と考えるとわかりやすいと思います。

派遣労働者の賃金決定には2つの方法があります。 

①派遣労働者の賃金を派遣先の労働者と同じくする。

これは派遣先の労働者と同一賃金を求めるもので、この方法の選択は難しいと思います。ほとんどの会社は次の労使協定方式を選択するものと思います。

②労使協定方式

公的な指標(賃金統計等)に基づいて決める。その方法を労使間で労使協定を取り交わすことになります。

公的な指標のベースとなるもの

(1)ハローワークの賃金統計(職業安定業務統計) 

(2)監督署の賃金指数(賃金構造基本統計調査)  

(1)を使うことが多いかと思います。この統計は全国平均の値なので、こちらに地域指数を乗じて、指標とします。

 ex)東京 114.1(平成30年)になります。

この金額に、退職金を支払っているか否かにかかわらず、指数6%をプラスする方法か、また退職金の統計からその金額以上を支払うとするかいずれかの方法を選択しなくてはなりません。

さらに派遣契約では通勤手当を実費支払っていない契約もありますので、実費を支払うか、そこに通勤費の平均金額をプラスするかも定めなくてはなりません。

ここまでは指標に基づく計算となりますので、派遣職種ごとに計算しそれを上回ればOKなので、問題なく進められるかと思います。

問題なのは、ハローワークの指標を見てください。(リンク)

0年目、1年目、2年目・・・10年目と賃金額が上がっていく表となっています。
派遣先が毎年の派遣契約金を上記を考慮してアップしてくれれば問題ないのですが、そうでないと毎年利益が圧迫されるということにならないでしょうか?

◎ そこでしなくてはいけないことがあります。

1.派遣の業種ごとに職務を区分して段階を設ける必要があります。

労働局の例ですと (Aランク・Bランク・Cランク)と区分しています。例えば経理事務の派遣ですと

ランク

職務レベル
C 仕訳をして打ち込みができる
B 貸借対照表 損益計算書を作成し、残高明細が取れる
A 経営者に対して財務諸表の説明ができる

このような区分を作成し、派遣労働者の区分をし賃金を決めることになります。その時にCランクがハローワークの指標0年Bランクが3年 Aランクが10年になるように設定します。

評価して上のランクに達しなければ大きく賃金は上がらないので、この区分を到達できるように評価してランクを上げていければよいということになります。

ただし、ランクが上がらなくても1〜3%程度上げなくてはならないとあるので、ランク中に号俸を設けて(賃金テーブルを作り(賃金の決め方参照))上げる仕組みが必要かと思います。

お悩みの方は当事務所でサポートさせていただきます。ご一報ください。