「同一労働同一賃金」に関しまして(2)

施行は、大企業は来年2020年4月から 
中小企業は1年遅れて2021年4月からになります。

この内容が解りやすい判例としまして、昨年の6月に出た「運送会社のハマキョウレックス事件」という判決があります。

契約社員のドライバーが正社員にのみ支給されていた手当が不合理であるということで訴えたものです。

この手当ての中で、皆勤手当・無事故手当・作業手当・給食手当・通勤手当は、契約社員と正社員に差があることは不合理であるとして会社が負けています

しかし住宅手当は次の理由で不合理でないとしてされました。

正社員は転勤があるが契約社員はなく正社員は費用負担が大きいという理由です。

一方で本年5月の「中央学院事件」では 
専任講師と非常勤講師との間で、住宅手当を含めて、手当の支払いに差があることを争われた事件では、住宅手当は、「相応する人材を安定的に確保する」ためには、差があっても不合理ではないとしています。

前段の事件は正社員には転勤があるからとする明確な理由がありましたが、こちらにはありません。

それは職務の違いが大きいとされています。
前段のドライバーという業務の成果は、荷物をトラックに積んで届けるという行為に正社員も契約社員もあまり相違はないためです。
そのような場合は、手当の差は明確な理由がなければ賃金の差は不合理だとされます。

正社員と契約社員との間に、人事運用面で大きな違いがあれば「相応する人材を安定的に確保する」ためということで、ある程度は認められるということのようです

しかし裁判で決着するには多くの費用が掛かります。

それゆえ正社員には支払って、契約社員には支払わない手当があれば、合理的に説明し納得できる定義を明確にしておく必要があります。

賞与・退職金も対象となります

契約社員規程に「賞与・退職金は支払わない」としていますが、改定が必要とする動きもあります。